監督:濱地 咲季
2026年/日本/カラー/80分
登場人物:山本 潤、北原
みのり、田嶋 みづき、石田 郁子、睡蓮 みどり
製作:東京ビデオセンター
助成:
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
配給:パンドラ
監督:濱地 咲季
2026年/日本/カラー/80分
登場人物:山本 潤、北原
みのり、田嶋 みづき、石田 郁子、睡蓮 みどり
製作:東京ビデオセンター
助成:
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会
配給:パンドラ
その声は、
社会を変える──
ほんとうの正義を求めて
誰のための法なのか──
立ち上がる性暴力サバイバー
本作は、勇気をもって自らの声をあげた性暴力サバイバーたちの姿を追った、5年にわたる記録である。2019年、日本各地で性犯罪の無罪判決が相次いだ。女性が抵抗できない状況にあったと認めながらも男性が「同意したと勘違いしていた」、「女性による明確な抵抗がなかった」、「抵抗できたはずなのにしなかった」などとする無罪判決──。なぜ、加害者に有利な判決が繰り返されるのか。性暴力の被害者は、なぜこれほどないがしろにされ続けているのか。こうした状況に、「これ以上見過ごすことはできない」と人々が立ち上がり、自らの悲しみ、怒りや苦しみを自分自身の声で語り始めた。その声を受け、「決してなかったことにしてはいけない」との強い思いで撮影を続けたのは、数多くのTVドキュメンタリーを手掛けてきた濱地咲季監督。濱地監督は2019年から、性犯罪に関する刑法改正に取り組む人々を取材してきた。ドキュメンタリー番組の放送を経て、その闘いの記録を長編映画として残すことを決意、さらに取材を重ねて完成させたのが本作である。
数多くの小さな声が、
現実を動かした
「同意のない性交というだけでは罪に問うことができない」という現実に対し、一人ひとりの声は全国へと広がっていく。実父からの性加害によるトラウマやPTSDに苦しむ女性たち。職場での度重なるセクハラに抗うことができなかったシングルマザー。制度の想定からこぼれ落ちてきた性的マイノリティの人々の被害。男性の被害者もまた、その経験を語りはじめた……言葉にされることのなかった現実が少しずつ共有され、性暴力の根絶を目指す「フラワーデモ」や「#MeToo」、被害者との連帯を示す「#WithYou」など、全国へ拡大していく。そしてついに2023年7月の刑法改正へと社会を動かし、「同意のない性交は犯罪である」と明確化されたのである。
今なお、性暴力は根絶してはいない。しかし、5年にわたる撮影は、勇気をもって声をあげた一人ひとりの声の連鎖が社会に刻んだ、大きな一歩を記録している。
広場に集まり、マイクを手に、ぽつりぽつりと語り始める人々。一人が語り始めると、それを囲む人々が静かに耳を傾ける。そこで語られるのは、自らが受けた性被害である。被害がもたらした苦しみや憤り、そして「同意のない性交というだけでは罪に問うことができない」という、加害者に有利な刑法への問題意識が共有されていく。
2019年、日本各地で性犯罪の被害者を軽視する判決が4件相次ぎ、社会に大きな衝撃を与えた。男性が「同意したと勘違いしていた」とする無罪判決や「女性の明確な抵抗がなかった」とするもの、さらに、未成年の娘に対する実父による長年の性虐待事件についても、「抵抗できたはずなのにしなかった」などとして無罪とされた。
本作は、こうした状況に対して声をあげた人々を追ったドキュメンタリーである。実父からの性加害によるトラウマを抱え続ける女性、職場でのセクハラ被害を経験したシングルマザー、制度の想定から外れてきた性的マイノリティの人々、男性の被害者など、それぞれの立場から被害の実態が語られていく。
こうした声は「フラワーデモ」や「#MeToo」、被害者との連帯を示す「#WithYou」など、同意のない性交を性犯罪とすることを求める運動へと発展した。2020年3月12日、名古屋高裁は、無罪とされていた父親の事件について判断を覆し、有罪判決を下す。さらに2023年7月には刑法が改正され、「同意のない性交は犯罪である」と明確に位置づけられた。
明治時代に成立した刑法は、激しい抵抗がなければ性犯罪と認められないことや、地位や立場の差を利用した性加害に十分対応できていないこと、性交同意年齢が低いことなど、多くの課題を抱えてきた。現在もなお問題は残されているが、本作は、声をあげ続けた人々の歩みと、その積み重ねが社会を動かした5年にわたる記録である。
| 1907年 |
日本の性犯罪に関する法律は、1907年(明治40年)に作られた刑法から始まります。当時の「強姦罪」は、「13歳以上の女性に対する性交」を対象としており、被害者は女性に限られていました。そのため、男性の被害や、さまざまな性のあり方は想定されていませんでした。また、この犯罪は「親告罪」とされ、被害者が自ら訴えなければ裁判にならない仕組みだったため、実際に守られる範囲はとても限られていたのです。
こうした法律の背景には、女性が自分の意思をもつ個人というより、「守られる対象」とみなされ、家父長的な社会秩序の中で理解されていた側面があったと考えられます。そのため性犯罪は、「本人の権利が侵害された」というよりも、「家や社会の秩序が乱された」と捉えられることが多く、被害者の気持ちや尊厳は十分に重視されていませんでした。 さらに、「暴行や脅迫があったかどうか」が犯罪成立の条件とされていたため、「どれだけ抵抗したか」が重視される傾向がありました。その結果、怖くて動けなかった場合や、立場の差などによって逆らえなかったケースは、被害として認められにくいという問題がありました。 |
|---|---|
| 2017年 |
こうした状況が大きく変わったのが、刑法制定から110年後にあたる2017年の改正です。この改正により、「強姦罪」は「強制性交等罪」へと変更され、男性も被害者として認められるようになりました。また、口や肛門への性的行為も犯罪の対象に含まれるようになり、法律が想定する被害の範囲は大きく広がりました。刑罰も引き上げられ、さらに「親告罪」ではなくなったことで、被害者の告訴がなくても起訴が可能となりました。
加えて、「監護者性交等罪」が新設され、現に監護する立場(実の親・養親、場合によっては児童養護施設の職員など)にある大人が18歳未満の者に対して行う性行為も処罰の対象となったのです。 ただし、この時点では依然として「暴行や脅迫」が成立要件として残されており、「同意の有無」を中心に判断する仕組みには至っていませんでした。また、この改正では施行後3年を目途に見直しを行うことが附則で定められ、制度を継続的に検討していく必要性も示されました。 |
| 2019年 | その後、2019年に性犯罪の無罪判決が相次いだことをきっかけに、性暴力の根絶を目指す「フラワーデモ」が始まりました。市民の声の広がりに加え、被害の実態に関する調査や報道、国連の女性差別撤廃委員会による勧告、世界的に広がった#MeToo運動の高まりなども重なり、社会の意識は大きく変化していきました。 |
| 2023年 | こうした変化の中で、性犯罪のあり方を見直す必要性が高まり、2023年には再び法律が改正され、「強制性交等罪」は「不同意性交等罪」へと変わりました。この改正の大きなポイントは、「同意があったかどうか」を中心に考えるようになったことです。 たとえば、酔っている、怖くて断れない、相手との力関係がある、といった状況では、本当の意味での同意があったとはいえないと考えられるようになりました。これにより、これまで認められにくかった被害も、より適切に判断されることが期待されています。 また、性交に同意できる年齢(同意年齢)は13歳から16歳に引き上げられ、若い人たちの保護が強化されました。さらに、物を使った性的な行為も、同意がなければ犯罪になることが明確になりました。 時効についても不同意性交等罪は10年から15年に延長され(不同意わいせつ罪は7年から12年)、また被害者が18歳未満の場合は成人するまで時効が停止する規定も設けられました。 ただし、まだ課題は残っています。たとえば、時効のさらなる延長、加害者の再犯を防ぐ取り組み、被害者を支える体制の充実などが求められています。また、「同意があったかどうか」をどのように判断するかは、これからの運用の中で丁寧に考えていく必要があります。今後も、実際の被害の実態を踏まえながら、法律を見直し、よりよい仕組みにしていくことが求められています。 |
TBSで情報番組の制作に携わった後、NHK Eテレ「ハートネットTV」やNHK総合「最深日本研究」など、多くのノンフィクション番組を制作。2017年、撮影・編集を行った「赤髪と日本舞踊」が、Tokyo Docs「Short Documentary Showcase」で優秀賞を受賞。2019年から性暴力に関する問題を取材し、2020年にテレビ朝日・テレメンタリー2020「私がやらない限り~性暴力を止める~」を制作。本作が初の長編ドキュメンタリー映画作品となる。
ディレクターとして情報・報道番組を制作。2011年よりプロデューサー。NHK福祉番組を10年間担当し、「お母ちゃんと小雁~認知症の喜劇役者 再び舞台へ~」がギャラクシー賞 テレビ部門 奨励賞、ATP賞テレビグランプリ ドキュメンタリー部門 優秀賞を受賞。
| 都道府県 | 劇場名 | 公開日 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 東京都 | 新宿K's cinema | 2026/8/1(土)〜 |
連日10:00~
※都合により登壇者が変更となる場合がございます。予めご了承ください。 |
| 栃木県 | 小山シネマロブレ | 2026/9/18(金)〜9/24(木) | |
| 愛知県 | あいち国際女性映画祭2026 | 2026/9/3(木) | 15:30〜 |
| 京都府 | アップリンク京都 | 2026/8/28(金)〜9/10(木) | |
| 大阪府 | シネ・ヌーヴォ | 【近日公開】 | |
| 兵庫県 | 元町映画館 | 2026/8/22(土)〜8/28(金) | 連日10:30~ |
| 福岡県 | kino cinéma天神 | 2026/8/21(金)〜8/27(木) | |
| 沖縄県 | 桜坂劇場 | 2026/9/12(土)〜9/18(金) |
閉じる